話「は」聞いてる


一念の狂い。それは何よりも怖い。

家を建てる時、職人さんは角度にとても気を使う。
1mmの狂いですら、数m進むと1mmではすまなくなるからだ。

では、これが心の中で起きていたら…?

肝心な話の最中、目を合わせていないと僕は必ず「聞いてる?」と聞く。
心が通じてない人は「聞いてる」という。 付き合いの長い人は「ちゃんと聞いてる」と返してくれる。

先日「話は聞いてる」と返された。 とんでもなく狂っていると思った。

「話を聞いてる」の間違いでは?と問い返すが、何がいけないのかわからないようだった。

とても悲しくて、今までの時間は何だったのかと自問してしまった。

話「は」聞いてる…?  話「を」聞いてる…?


僕は、話「を」聞く。